Think Village

日々思ったこと、気づいたことを推敲もなしに気ままに書き綴っています。

欠乏と豊かさを理解し、間違った時間やお金の使い方から解放されよう

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いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学

時間に追われるときに必死になり燃え尽きて、時間が余ったときには怠惰に過ごし、後悔をすることがよくある。多分そういう人は多い気がしている。
この本を読んでそういう状況にたいしてどうアプローチすればいいかわかってきたので、まとめてみた。(実際には、本にはベストプラクティスなど具体的な解決策までは示されてなかった)
下記に書くことを理解・実践することで時間やお金に追われることはすくなくなっていくと思っている。

まず、「欠乏」の状態と「豊か」な状態の2つの状態を理解する必要がある。
※「欠乏」の対義語は「豊富」だが個人的にはぱっとしないため「豊か」と表現する

欠乏とは

欠乏とは、自分の持っているものが必要と感じるものより少ないことである。欠乏の定義は主観的なものであり、たくさんの富を持っていても金銭欲が強い人にとっては、貧乏であるのと同じ状態の心理に陥っている可能性もある。 代表的な欠乏しがちなものはお金と時間で、この2つは現代社会においてはいくらあっても足りないと思っている人も多いだろう。他にも、ダイエットをしている人にとっての食事やお菓子、大学受験を控えている人にとっての学力、孤独な人にとっての触れ合う機会など、様々なものが欠乏の対象となりうる。

欠乏な状態下ではどのような心理になるか

何かが足りないという欠乏状態が続くと、その足りないものをなんとか得ようと必死になり、近視眼的になってしまう。例えば今月の家賃が支払えない状況でお金に対して欠乏状態に陥ったとする。それを解決するためにどうすればいいか仕事中などの日中も脳のリソース(=処理能力)が取られる。不安が襲い夜も眠れない。消費者金融から借金をするべきか、親に頼るべきか、なにか売れば金にならないか、など何をしていても気をとられてしまう。
このように欠乏状態が続くと人の処理能力がどんどん奪われていってしまうのだ。

欠乏の状態でのメリット

まったくもってメリットがないということでもなく、欠乏状態に陥るということは、その足りないものに対しては物凄い集中力を発揮できる。例えばプロジェクトの納期が迫っている場合などがわかりやすい。納期間際になると、どうプロジェクトを納期に間に合わせるかということに自然に集中し始める。最初の1,2ヶ月ではあまりよくなかった進捗が、最後のほうだと急に進捗がよくなりだす。このような状況は仕事以外でも多くの人が夏休みの宿題などで経験をしていることだと思う。

欠乏の状態でのデメリット

上記のように「集中ボーナス」ともいえる一時的なメリットはあるものの、デメリットのほうが実は大きい。

まずひとつに、処理能力が奪われることがある。これによって本来他にやるべきことに対するパフォーマンスが著しく下がる。これを トンネリング という。何かを決断する時も、間違った判断をしてしまうようになる。例えばお金の欠乏による借金のやりくり。借金をするにも銀行のローンなどが金利が安いが、審査が簡単で早いがその分高利な消費者金融を利用しようとしたり、少し先のことは考えられなくなる。諸々考えた上で決めたならともかく、処理能力が奪われている状態での決断は、楽な方に流された結果であることがおおい。

さらに、欠乏は欠乏を生む。上記のように金利が高い借金をすると、借金をすぐにすべて返済するのは難しい。何も問題が起きなければ徐々に返済できるかもしれないが、子供の学費や病気で入院、車の修理などで急な出費が必要になる。そうするとさらに借金をせざるを得ない。他の例としては、あるプロジェクトを終わらせようとしている間に、もう一つで同時進行していたプロジェクトが手薄になってしまい将来的な欠乏を生み出しているような状況があげられる。

上記のように欠乏に欠乏が続き、なんとかやりくりしつづけている状態を、曲芸になぞらえて ジャグリング という。そういう状態になると余裕のある状態に戻るのが難しい。つまり、常に近視眼的な考え方になってしまう。

時間のマトリクスでいうと、常に重要で緊急な第一領域に気を取られ、最重要とされている重要だが緊急でない第二領域に踏み込むことができない状況が続く。

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時間のマトリクス

ダイヤモンド・オンラインより

豊かとは

言葉が示すとおり、上記の欠乏とは反対の状態を指す。例えば自分が必要だと思っている以上にお金がある状態だったり、時間がある状態だったりだ。

豊かな状態下ではどのような心理になるか・メリット

豊かな状態だと、短期的に困ることはないため、中長期的な目線で物事を考えやすくなる。例えば、お金や時間がある状態であれば先を見据えて自身のスキルアップなどに投資することができたり、病気の予防のために定期検診などにも掛かりやすい。精神的余裕も自然に生まれるため、人とのコミュニケーションにおいても寛大な態度を取れる。 また、豊かな状態であれば何をするにも数多くの選択肢が用意できる。たとえば貯金に余裕がある状態であれば、しばらくは働かないことさえも簡単だ。

豊かな状態でのデメリット

実は全くデメリットがないということではない。豊かな状態は逆にいえば、必死になる必要がない状態でもあるため、怠惰に陥りやすい。例えば、お金があるときに不要なものを買い込んだり、夏休みの宿題のように最初の数週間は遊び呆ける状態などがあげられる。得てして、人は所持金が底を付きかけたり、期日が近づいたりするとようやく焦りはじめ、最終的に欠乏状態に推移してしまう。

結論:欠乏と豊かさとの付き合い方

前述までをまとめると、

人はお金や時間がない欠乏状態の時、他のものを犠牲にしながら必死にやりくりをして凌ぐ。
仮に欠乏状態を抜け出せ豊かな状態になっても、結局何もせず、予期しないトラブルなどに巻き込まれ、またすぐに欠乏状態に引き戻される

ということだ。残念ながら、これはかなり自分に当てはまる。お金はある分使ってしまうし、時間もある分使ってしまう。パーキンソンの法則というのもあるくらいなので、私と同じような人は少なくないと思っている。 逆に言えば、下記をすることでこの悪いループからは抜け出せると思っている。

「欠乏」の状態に陥った時、それをまずは自覚し、なるべく冷静な判断を下せるよう心がける。その上でなるべく早く欠乏状態から脱せるように行動し「豊か」な状態にしていく。
そして「豊か」な状態下では、余裕があるからといって怠惰にならず、余裕があるからこそ自分に投資したり先を見据えた行動を取り続けること。

これを実践する具体的な方法として下記が挙げられる。

  • マインドフルネス瞑想などを実践し、欠乏状態になっても精神状態をなるべくクリアに保つ。
  • 自分がやることを明確にする。なるべくマルチタスクは減らす。
    • いろんな期間粒度のタスクリストを作るなどをして、やるべきことを明確にすることで集中力が他の関心事に邪魔されなくなりパフォーマンスが向上する。
    • マルチタスクは処理能力を低下させるので、最終的には目標を達成するのが遅くなる。
  • 期日は長めに設定しない。なるべく細かく目標と期日をもうけて余裕を作りすぎないようにする。
    • 余裕がありすぎると、リソースは無限だと勘違いしてしまい怠惰になってしまうため。
  • ラストスパートはしない。やるべきことを早めに終わらせるスタートダッシュを行う。
    • リソースが少なくなって初めて発揮するラストスパート思考は、まさに欠乏状態そのもの。集中ボーナスは利用できるが、それ以外がおろそかになってしまい欠乏ループのきっかけになる。
  • 豊かな状態下では、時間管理マトリクスの第二領域に取り掛かるのを意識する。これで未然に失敗などを防ぐことができ、欠乏状態に入りにくくなる。
    • 一番良いのは第二領域に取り掛かることを何らかの方法で習慣化しておくことだと思っている。そういうクセがついていれば余裕がある状況下でも怠惰になりにくい。

具体的な例

具体的な例を挙げてみる。

  • お金の管理
    人はお金に余裕がある豊かな状態のとき、色んなものを買ってしまう。高い車や嗜好品、高い服やそこまで必要ではない黒物家電など。収入と支出が比例してしまっては急な出費によりすぐに欠乏状態になりかねない。そうならないためにも、お金に余裕があるときこそ、お金がない欠乏状態を想定した立ち回りをする。貯金に回したり投資を学んだり、スクールに通ってスキルアップをしたりなどを実践することで、金銭的欠乏状態に陥りにくくなっていける。

  • 時間の管理
    人は時間に余裕がある豊かな状態のとき、のんびり過ごしてしまう。例えば1年単位のプロジェクトに従事している場合、少なくとも最初の半年は多少は遅れてもほとんど気にしない。残り数ヶ月になってようやく焦りだす。時間に余裕があるときこそ、視野は広く不安な状態ではないので仕事は捗る。短く目標を設定して、最初に多くのものを捌いていくことで、納期直前になって無理な仕事のやりかたはする必要はなくなる。

他にもいい考えがあればみなさん教えてください。

※ ソフトウェア開発手法であるスクラム開発は、期日と目標を細かく設定し、やることを明確にする時点でうまく欠乏を解消することができている仕組みだと感心した。